2008年10月27日
石内尋常高等小学校 花は散れども

今年で96歳、日本映画界最高齢ながらも現役の映画監督・新藤兼人。
最新作は少年時代を送った小学校の先生との交流を描いた物語。大正末期・小学校時代のほのぼのとしたエピソード。終戦後に再会、自分の人生に真摯に向き合う事を諭される青年期。そして先生との永遠の別れ。
テーマも決して派手ではなく、どこか学校で観る教育映画のような雰囲気を否めない雰囲気の映画ですが、ごく普通のありふれた人間像や暮しぶりを描きながらも、「戦争と平和」「愛と性」など、ユーモアを交えつつ大胆かつストレートに描いています。
柄本明扮する先生と、特に交流の深い豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政扮する3人の生徒との関係は、少し羨ましかったです。このように相手を思い合える学校での師弟関係を私は持てなかったので。
それも決してベタベタせず、少し距離を持ちつつ温かく見守っている。
そこには、新藤監督の持つ美学が感じられました。
馬鹿でも利口でも、善でも悪でも、生きているからこその人生讃歌。
新藤監督は、人間が大好きなのだと思います。だからご高齢の今でも、エネルギッシュなのでしょうか。
ちょっと尊敬。私も少し見習いたい。
★「石内尋常高等小学校 花は散れども」公式サイト
・石内尋常高等小学校 花は散れども@映画生活
2008年10月26日
ブーリン家の姉妹

イングランド王ヘンリー8世の2番目の王妃となりながらも、反逆罪に問われ斬首刑となったアン・ブーリン。
彼女の妹メアリーは、王の愛人のひとりでした。
王を巡ってのドロドロの愛憎劇は、まさに「大奥」を見ているよう。
このような女性のバトル劇が面白い!と思うのは、時代や国に関係なく不変、自分の身辺にも多少はあり身近に感じられるからでしょうね。
スケールは全然違いますが。
しかし、この物語がよりドラマティックなのは、アンとメアリーが仲の良い姉妹だったこと。
他人同士だったら、アンもメアリーへの対抗心をエスカレートさせて王妃にのし上がろうとまでは思わず、あの様な悲しい最後も迎えずに済んだかも知れません。でも最後に赦し合えるのも姉妹だからこそ。
血の繋がりの持つ複雑さを感じました。
ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソン。パッと見は合わなそうなこの二人が、まるで本当の姉妹のように感じられる演技を見せて、クライマックスまで一気に盛り上げます。
監督のジャスティン・チャドウィックは俳優でもあり、91年に主演した映画「ロンドン・キルズ・ミー」が日本でも劇場公開されています。
私はこの「ロンドン・キルズ・ミー」が好きで、映画館に2回行きました。90年代のイギリスの若者像を描いたこの作品は、なかなかの秀作だと思うのですが、DVD化されていないのです…残念。
クリント(主人公の名前)役の人って、どうしているのかなと思っていたのですが、こんな形で再び名前を聞くとは思ってもみませんでした。
東京国際映画祭で来日していましたが、今の姿にも「ロンドン・キルズ・ミー」で見せた人懐っこい雰囲気が感じられて、ちょっと嬉しくなりました。
★監督ジャスティン・チャドウィックの舞台挨拶
★「ブーリン家の姉妹」公式サイト
・ブーリン家の姉妹@映画生活
2008年10月15日
宮廷画家ゴヤは見た

天才画家ゴヤが見た、彼が描いた肖像画のモデルとなった少女イネスと神父ロレンソの数奇な運命。
最初、ゴヤの伝記物語と誤解して観賞。なので、ゴヤがMC的役割を演じていたのにはちょっと面食らいました。
18世紀末から19世紀初頭にかけて、大きく揺らいだスペイン。
この映画に出てくる歴史的状況や人間の姿は、何世紀も渡って人間が繰り返した出来事なのだなと実感できます。ゾッとする異端審問や残酷な動乱のシーンは、これから私達が再び辿る道なのかも知れません。
作品の原題は「GOYA'S GHOSTS」。
監督のミロス・フォアマンは、ゴヤの幽霊を通じて現代に生きる自分たちに問いかけています。
自身の価値観や真理を揺るがされるような状況の中で、人間はどう生きて、どう人を愛すのかと。
イネスを演じたナタリー・ポートマンが圧倒的な存在感。この作品で、二役の演じ分けにも成功しています。
「レオン」から14年。あの鮮烈すぎる役からここまで見事に大人の女優に成長できるとは、正直思っていませんでした。
間もなく公開の新作「ブーリン家の姉妹」も楽しみです。
★「宮廷画家ゴヤは見た」公式サイト
・宮廷画家ゴヤは見た@映画生活
2008年10月11日
2008年10月06日
イントゥ・ザ・ワイルド

全米でベストセラーとなった、ジョン・クラカワー原作「荒野へ」をショーン・ペンが映画化。
1992年、アラスカで遺体となって発見された青年クリス・マッカンドレス。彼の2年間の旅の軌跡を描いています。
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2008年10月05日
落下の王国

1915年、映画撮影中に大怪我を負い入院中のスタントマンのロイ。自暴自棄になった彼は、腕を骨折して入院中の5歳の少女アレクサンドリアに、薬剤室から自殺する為の薬を盗ませる事を計画。彼女の気を引くために、思いつきの物語を聞かせていきます。
語られるお話のイメージを広げるのは、世界遺産13カ所、24カ国にも及ぶロケーション。その壮大さに圧倒されます。登場人物たちが身にまとう、石岡瑛子デザインの色鮮やかな衣装も一層美しく、まるで夢のような気分に浸れます。
最初は死ぬ為に適当に物語をでっち上げたロイ。やがて純粋無垢なアレクサンドリアの優しい心に触れ、本当に美しい物語が完成します。それは一度挫折し絶望に突き落とされた彼に、もう一度生きる勇気にもなるのでした。
そしてこの映画を観ている私にも。この現実の世界で生きていくための希望が感じられて、とても嬉しかったです。
★「落下の王国」公式サイト
・落下の王国@映画生活
2008年10月04日
蛇にピアス

蛇の様に割れた舌、顔中にピアス、背中に龍の刺青を入れた男・アマと出会った19歳のルイ。彼女も舌にピアスを開け、背中にも刺青を入れ、それまでの自分とは全く違った世界に突き動かされるかのように踏み込んでいきます。
ピアス、刺青、SMチックなSEXシーンとハードな場面の連続でも、下劣な雰囲気にならず綺麗にまとまっているのは、蜷川幸雄の手腕でしょうか。
それでも、苦痛によって生きる実感を得ようとするルイの姿は痛々しい。
都会の片隅に彼女みたいな人は結構存在するのかなと想像すると、切なくなります。
こういう形でしか生きてゆけない彼女が理解できなくもないけど、家族や友だちの立場だったら、もう少し器用に生きてほしいと思うかな…。
吉高由里子の甘ったるい声が、この映画の雰囲気によく似合っています。
ルイと関係を持つもう一人の男を演じた、ARATAも良かった。佇まいが良いのです。全身刺青はコワイけど…。
藤原竜也、小栗旬、市川亀治郎、唐沢寿明。特別出演もゴージャスな顔ぶれでした。
★「蛇にピアス」公式サイト
・蛇にピアス@映画生活








