2007年07月29日
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

両親の葬式の日、女優を目指して上京していた長女・澄伽(すみか)が4年ぶりにふらりと舞い戻ります。
女王のごとく傲慢に振る舞いだす澄伽。とりわけ妹の清深(きよみ)に対する怒りは普通ではありません。しかし清深も、そしてなぜか異常に澄伽に気を遣う兄の宍道(しんじ)も、それを甘んじて受け入れています。人の好い宍道の妻・待子だけは、そのことを不思議に思っていましたが…。
劇中かなり極端に描かれている家族ですが、結構現実にあるんでしょうね。実際に家族間の殺人事件は日常茶飯事だし、血の繋がりや、長く一緒に暮らしているから故、激しい愛憎は確実にあると思います。
この映画を観て、こんな家族あるわけないとキッパリ言い切れる人は、本当に幸福なのかもしれません…。
サトエリ新境地!
自意識過剰で超自分勝手、まるでジャイアンのような女王様気取りの勘違い女を熱演。徹底的な妹のイジメっぷりが最高です。そして外(都会)では、人に支配される側に回る悲しさ。
例の熱愛報道で見せた彼女の痛々しさと、どこかカブるものがあります。
しかし本当に巧いのは、お嫁さん役の永作博美。彼女がいたからこそ引き出せた、姉妹の葛藤。屈託のない笑顔の奥に潜む底知れぬ不気味さ。一番の怪演は彼女ですね!
原作は本谷有希子の戯曲。彼女自身のユニット「劇団、本谷有希子」で舞台化もされています。
映画のラストは原作と変えてあるそうです。原作を知らないながらも、違うんだろうなーとなんとなく思いました。映画ならではの雰囲気、匂いのようなものがあったので…。
機会があれば本谷さんの舞台も観てみたいですね。
★「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」公式サイト
・腑抜けども、悲しみの愛を見せろ@映画生活
2007年07月28日
アヒルと鴨のコインロッカー

大学進学のため、初めての1人暮らしを始めた椎名。引越し初日に奇妙な隣人の河崎に声をかけられます。同じアパートに住む、引きこもりのブータン人留学生ドルジに一冊の広辞苑を贈りたいと言われ、椎名は彼と一緒に本屋を襲撃するはめになりますが…。
河崎の唐突な登場や本屋の襲撃、ドルジと恋人琴美そして元カレ河崎のエピソード…なんだかよくわからないままに、引き込まれていきます。
まるで主人公椎名のように、彼らの物語に飛び入り参加したかのように。
ストーリー展開も巧みで面白く、良く出来た映画なのですが、コインロッカーのシーン等、やや物語を美化しすぎの気がして、なんとな〜く鼻につく感じがしたかも…。
原作と映画は別物だなと思いますが、この辺はどうなのかな?私は読んでいないので、近々読んでみたいと思います。
瑛太がすごく良かったです。今までの彼の出演作の中で一番、胸キュンな演技でした。彼にはもっと いっぱい映画に出て、いろんな役をやってほしいです。
濱田岳くんも「風に吹かれて」を歌う声がとてもチャーミングでした!
★「アヒルと鴨のコインロッカー」公式サイト
・アヒルと鴨のコインロッカー@映画生活
2007年07月19日
それでも生きる子供たちへ

「それでも生きる子供たちへ」は、世界中の子供たちの窮状を救うために企画・制作された、7話構成のオムニバス映画。
劣悪な状況にいながらも懸命に生きて輝きを失わない子ども達の姿を、7カ国の映画監督達がドラマティックに描いています。
映画を観た後に気づいたのは、どんな状況に置かれた子供でも、その中に未来と希望を感じずにはいられない事でした。
毎日TVから流れる悲しい出来事。もうこの世に希望なんて…と考えがちな私は、イヤーな大人だな、と少し反省したりして。
それぞれの国の持ち味を活かした秀作揃いですが、私は特に以下の作品が好きでした。
☆エミール・クストリッツァ「ブルー・ジプシー」
窃盗の罪で少年院に投獄、出所を控えた15歳の少年と、盗みでしか生きられない窃盗団の家族。深刻なテーマながらもコミカルかつ叙情的!
☆スパイク・リー「アメリカのイエスの子ら」
HIV感染者の両親を持ち、自分も胎内で感染した少女ブランカの苦悩と再出発。ラストのブランカのまっすぐな視線が強く印象に残ります。日本では、HIV感染を未だに特別なことのように考えがちだと思いますが、感染しても普通に受け入れられる社会づくりができないものでしょうか…。
☆ジョン・ウー「桑桑と小猫」
孤児ながらも健気に生きる、小猫(シャオマオ)と、裕福だが孤独で、悲しい目をした桑桑(ソンソン)の運命的な出会い。それぞれの希望を見出す姿が感動的。涙なくして観れません…。
大阪でも、今週末で上映終了なので、DVDとかになってしまうかと思いますが、できれば多くの大人たちに観てもらえればと思います。

・それでも生きる子供たちへ@映画生活
2007年07月13日
転校生 さよならあなた

両親の離婚を機に、尾道から幼少期を過ごした信州に転校してきた一夫は、幼なじみの一美と再会します。2人は思い出の“さびしらの水場”に行きますが、一緒に水の中に転落!気が付くと互いの心が入れ替わっていたのです…!!
青春映画の名作「転校生」。25年ぶりに舞台を尾道から信州に移し、大林宣彦監督自身の手により、スクリーンに帰ってきました。
尾道三部作と共に思春期をすごした私としては、今回の「転校生」に対して少々不安だったのですが、旧作とは違った感動的な作品になっていて、とても嬉しかったです。
物語のラストが違っていることもあるのですが、何より大林監督の視点が変わっている気がします。
旧作では、荒削りながらも一夫や一美と同じ若さを感じましたが、今は父親の様に見守っているかのような成熟した印象で、25年という月日の重みを感じてしまいました。
でも…私としては“青春の1ページ”でもあり、特別な思いのある映画、旧作「転校生」の方が、やはり好きだと思います。これを機に、また観直したいな。
★「転校生 さよならあなた」公式サイト
・転校生 -さよなら あなた-@映画生活
2007年07月11日
傷だらけの男たち

刑事ヘイの新妻スクツァンの父が惨殺されます。彼の死に疑問を抱いたスクツァンは、ヘイの親友で元部下の私立探偵ポンに捜査を依頼します。やがて調査が進むにつれ、ポンはヘイへの疑惑を深めていくのでした…。
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2007年07月05日
ボルベール 帰郷

スペインの太陽のように情熱的な女性ライムンダ。
ある日、娘のパウラが関係を迫ってきた父を刺し殺してしまいます。彼女は娘を守るため、自分が働くレストランの冷蔵庫に死体を隠します。そんな中、故郷ラ・マンチャで死んだはずの母の姿を見たという噂がライムンダの耳に飛び込んできます。しかし、彼女の前についに現れた母は衝撃的な秘密を抱えていたのです…。
スペインの巨匠、ペドロ・アルモドバル。「オール・アバウト・マイ・マザー」
私が最初に観たアルモドバルの映画は「ハイヒール」。この映画も、義父を殺してしまった娘のために、母が罪を被ってしまう物語でした。
画面からあふれんばかりの色彩、大胆かつ滑稽な性描写、わがままで脆さを持ちながらも精一杯たくましく生きようとする女たち、親子の葛藤と絆、そして生と死。
振り返ってみると、彼の映画は形を変えながらも同じテーマを追求しているようです。
本作は、彼のいつもの作品に比べると、やや地味で凡庸な気もします。でも、女性達のそれぞれの人生や思いが情感的に綴られて、最後には、しみじみとさせられるのは、さすがアルモドバル!
女性だけでなく男性の方にも観ていただきたいのですが、どう思われてしまうのか、心配…。
大輪の花のように艶やかなペネロペ・クルスの美しさも、この映画にとてもよく合っていて素敵です!
★「ボルベール 帰郷」公式サイト
・「ボルベール 帰郷」@映画生活
2007年07月02日
図鑑に載ってない虫

フリーライターの「俺」。「月刊 黒い本」の編集長から、死後の世界をルポするために“死にモドキ”を探せと依頼されます。相棒のエンドー、途中で知り合ったリストカットマニアの女サヨコと捜索を始めるのですが…。
監督は「イン・ザ・プール」
あいかわらずの徹底的なバカバカしさとくだらない映画!
どうでもいい小ネタ、悪ノリのオンパレード!!
ここまでやってくれると気持ちがいいです。もう大好き!!!
でも本当にくだらない映画なので、人によっては不愉快な気持ちになられるかも。
「時効警察」が好きな方にはオススメしたいのですが、さらに過激な映画なので、ご注意を!
「俺」役の伊勢谷友介…めっちゃカッコイイ!
「探偵物語」の工藤ちゃんを思わせる髪型やファッション。無駄な肉のない美しい二の腕!あの中途半端な高い声も、結構好きなんですよね〜。
私の大好きな松尾スズキ、岩松了やふせえりなどの三木作品の常連も大活躍!
ただ、菊池凛子はなんとなく違和感を感じてしまいました。声とか無理に変えなくてもいいのにとか、思ったりして…。でも、ヘアスタイルとか可愛かったです。
★「図鑑に載ってない虫」公式サイト
・図鑑に載ってない虫@映画生活







