2008年07月12日
ぼくの大切なともだち

「君には友人はひとりもいない」と知人たちから告げられ、大ショックを受けるフランソワ。
オークションの戦利品を代償に、10日後に親友を紹介すると賭けをした彼は、人なつこいタクシー運転手ブリュノに近付き、友人作りのコツを学ぼうとします。
「君の葬式に出る友人はひとりもいない」…!
本人に面と向かってこんな酷いことを言うなんて、フランス人って意地悪…。でも、心の中で思っていても口に出さない日本人の方がよっぽどひどいのかも知れない。これをきっかけに主人公のフランソワは、自分自身と向き合い、人を思い合える喜びを知るのだから。
KYなフランソワと、心に傷を持つブリュノの行動と会話に大笑いしながらも、ふと心に湧く疑問。
「でも、本当は私にも友だちっているんだろうか?」
今まで生きてきた中で出会った「友だち」の顔を思い浮かべる…友だちという関係って、かなりあやふやなものですね。
だからこそ、本当に大切な人は思いやりたいし、思っていてほしい。そんな事を考えさせられます。
映画の中で出てくる「星の王子さま」の文章が印象的。
引用したパトリス・ルコントはやはりセンスの良い人だなと感心しました。
★「ぼくの大切なともだち」公式サイト
・ぼくの大切なともだち@映画生活
2008年05月02日
パラノイドパーク

16歳の少年アレックス。スケートボードに興じる若者たちが集まる公園「パラノイドパーク」に通うようになります。
そんなある夜、ふとした偶然から誤って警備員を死なせてしまいます。突然降り掛かった大きな出来事に悩み戸惑う彼は、現実と自分の間に出来た距離を埋めるかのように、手紙を書き綴っていきます。
いつもと変わらない日常生活。でも、アレックスは昨日までの自分ではなくなってしまった。
学校生活、放課後の公園。ガールフレンドとのおしゃべり、セックス。
クリストファー・ドイル撮影の美しい映像と共に、淡々と描かれる日常風景。
逆に彼の背負った罪の深さ、その重さにまだ気付けない少年の幼さをより強く印象づけて、なんとも複雑な気分にさせられます。
しかし、いつもながらガス・ヴァン・サントの映画に出てくる少年少女達は美しいですね。
子どもと大人の間を行き来する、ティーンエイジャーたちが見せる独特の表情やしぐさに、思わずドキッ。
ガス・ヴァン・サント自身は歳を重ねているのに、作品ごとに瑞々しさを増している気がします。これを才能と呼ぶのだろうか。すごいですね。
★「パラノイドパーク」公式サイト
・パラノイドパーク@映画生活
2008年03月28日
Sweet Rain 死神の精度

原作は伊坂幸太郎の小説。人間の生死を決める死神とひとりの女性の交流から繰り広げられる物語です。
金城武扮する死神はこの映画の中で3人の人間の生死の判定をしますが、それぞれの話が時代を超えてリンクされています。
構成、展開とも悪くはないのですが、もう少し捻りが欲しかったような…どこか物足りない感じでした。
金城武の飄々とした演技が最高!
死神の時のクールな雰囲気、人間界で見せる大人の茶目っ気や時々見せる少年のような表情など、もう往年の“金城君”ファンは胸キュンものですよ!
あの大きな黒目、低いけれど甘い声で「君は死ぬことについてどう思う?」なんて言われたら…。
観た後、そんな妄想が私の頭で展開されていたのでした。
★「Sweet Rain 死神の精度」公式サイト
・Sweet Rain 死神の精度@映画生活
2008年02月15日
歓喜の歌

原作は立川志の輔の創作落語。
とある小さな地方都市の公民館。大晦日コンサートでダブル・ブッキングしてしまった2組のママさんコーラス・グループ。公民館の職員やメンバーたち、その家族の奮闘を描いています。
最初、全然期待していなかったのです。女性1,000円の日だし、ま、いいやって感じでした。
なのに、
最初は無責任でいい加減だったのに、コーラス・グループのメンバーたちの思いを知り、合同開催を実現しようと本気で頑張る公民館の主任職員。それぞれの事情を抱えながらもひたむきなコーラス・メンバーたちの姿。
いつの間にか引き込まれて、彼らを応援していました。
主任職員を演じる小林薫が見事!あまりに巧すぎてイヤラシさを感じるほどですが、それすら最後は忘れるほどの素晴らしさ。
久々に映画出演の安田成美も、なかなか雰囲気良く可愛くて、好演でした。
クライマックスで、2つのグループが共に歌うベートーベンの“第九”「歓喜の歌」は感動的でちょっぴり涙が…。
笑って、泣ける人情喜劇。観終わった時に少し良い気分になって席を立てる映画です。
★「歓喜の歌」公式サイト
・歓喜の歌@映画生活
2008年01月23日
やわらかい手

最愛の孫の手術費用工面のために奔走する、平凡な主婦マギー(マリアンヌ・フェイスフル)。
覚悟を決めた彼女の就職先は、壁越しの穴から手で客をイカせる風俗店でした!しかし、以外にも“ゴッド・ハンド”の持ち主だったマギー。店には毎日長蛇の列が…。
こう書くと何やら刺激めいた物語ですが、実際には愛する者のために行動を起こす女性の強さが、真摯に描かれています。
最初はオドオドしていたマギー。次第に自信と誇りを取り戻し、魅力的な女性へと変化していく様子が本当に美しい!
ラストで彼女が決断し選択した生き方には、観ている側をも勇気づけます。
私もマギーのように慈愛あふれる、勇気ある女性になりたい!
観た後に、彼女に拍手を贈りたくなるような素晴らしい映画です。
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・やわらかい手@映画生活
2008年01月06日
エンジェル

「まぼろし」「8人の女たち」の監督フランソワ・オゾンの最新作は“女の一生”。
上流階級に強い憧れを抱いて育った少女・エンジェルが、やがて人気小説家となり手に入れた、成功の日々とその先に訪れる悲劇。
もてはやされたあげくの果てに落ち目になった、にわかセレブの物語といってしまえばそれまでですが、主演のロモーラ・ガライの美しさと鬼気迫る演技、溢れんばかりの艶やかな色彩の映像美に、ウットリロマンチックな気分に浸ってしまいました。
美しくゴージャスな衣装、ヒロインのわがままで奔放な性格…なんだか「風と共に去りぬ」みたいだなと思っていたら、スカーレット・オハラを意識したのだそう。納得!
それにしてもオゾン映画の中のヒロインはみんな魅力的。
みんな結構イヤな性格で、決して幸福ではないのだけれど、なんだか格好イイ。
それは彼女たちが、結果はどうあれ自分のしたいまま、欲するままに行動しているからでしょうか。
私には出来ないことですが、少しは見習っても良いのかも知れません。
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・エンジェル@映画生活
2007年12月06日
転々

ドラマ「時効警察」の三木聡監督&オダギリジョー最新作は、ちょっと不思議な物語。
借金まみれの大学8年生の文哉(オダギリ)。借金チャラの代償に、借金取りの福原(三浦友和)とあてのない東京散歩につきあう事になります。
散歩のコースは吉祥寺から霞ヶ関まで。
オダギリジョーと三浦友和がテクテクと歩いているだけで、なんともイイ感じ。
TVや観光ではあまり観る機会のない、東京の違った雰囲気もどこか新鮮。
そして散歩の途中で出会う人たちや起こる出来事。
特に印象深いのは、途中で演じるハメになる疑似家族でのエピソード。
ちょっとヘンだけどやさしく、温かい雰囲気に包まれているのです。
観ているうちに自分の子ども時代を、なんとなく思い出したりして。
クスクス笑っているうちに切なくなって、ちょびっと涙が出そうになったら「三木聡ワールド」にはまってしまった証拠!
ふいを突かれるあっけない幕切れも逆に余韻を残し、なんともいえない気持ちになります。
オダジョ。相変わらず不思議な雰囲気が、私の心に潜む本能をくすぐります。
しかし、今作で一番良かったのは三浦友和。これまでの彼になかった新しいキャラクター。彼の俳優としての奥深さを感じました。
そして岩松了・ふせえり・松重豊による、ゆるーいにぎやかしな場面も必見です!
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・転々@映画生活
2007年11月26日
4分間のピアニスト

「4分間のピアニスト」は、孤独な女囚ジェニーと、彼女の才能を見抜いた年老いた女性教師クリューガーが、音楽を通じて共鳴していく物語。
けれども、その過程は決して順調ではありません。
お互いに激しく衝突し裏切られ、周囲からの妨害も受けながらも、やがてピアノコンクールでの4分間の演奏に辿り着きます。
ラストの演奏が凄い!良い意味で裏切られて、鳥肌が立ちました。
演奏を終えたジェニーの表情も、とても印象的でした。
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・4分間のピアニスト@映画生活
2007年11月09日
ヴィーナス

70代の老俳優モーリスは、旧友で同じ俳優仲間のイアンの姪の娘ジェシーと知り合います。
飾り気もなく無愛想で、モーリスにモデルの道を目指すつもりだと非常識なことを言うジェシー。モーリスは、彼女に美術教室のヌードモデルの仕事を紹介します。行動を共にするうちに、ジェシーが自分に元気を与えてくれる存在であることに気づいていくのでした。
主演のモーリスを演じているのは、名優ピーター・オトゥール。
本作で、8度目のアカデミー賞主演男優賞候補にノミネートされました。授賞式に現れた彼は、ひょっとしてこれで最後(失礼!)かもと心配になるほどに、かなりヨボヨボ…。
しかし、この映画の彼はその姿が信じられないほどに輝いています。
老人なので孤独や悲哀があるのですが、そこから逃げずに自然に受け入れている姿。
そして、ジェシーに対しても子ども扱いせず、ひとりの女性として向き合うところも、ちょっとスケベ心ありつつも紳士的でユーモアがあり、とても魅力的でした。
平日のお昼ということもありましたが、劇場は「アラビアのロレンス」をリアルタイムで観ていそうな、年配の方でいっぱいでした。
でも、本当は30〜40代位の方たちに、もっと観てほしい。
もう若くはない、でも年を取りすぎてもいない。人生の甘さも苦みも分かってきた年代だからこそ、この映画のテーマをより掘り下げて観れるのでは…と思うのです。
劇中で使用されている、コリーヌ・ベイリー・レイの楽曲も、とても良い感じです。
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・ヴィーナス(原題)@映画生活
2007年10月24日
クワイエットルームにようこそ

締め切りに追われる28歳のフリーライター、明日香。
ある日目が覚めると、白い部屋で拘束された状態に。そこは通称「クワイエットルーム」と呼ばれる女子だけの閉鎖病棟内にある保護室でした。
逃げられない状態に陥った彼女が再生するまでの14日間の物語。
監督は松尾スズキ。芥川賞の候補になった自身の小説を映画化しています。
この原作を読みました。とてもユニークかつ切ない物語。読後の解放感は、松尾さん主催の劇団大人計画の舞台「キレイ」を観た時の印象にどこか通じるものがありました。
というわけで、私は松尾さん自身の手によるこの映画を心待ちにしていたのですが…。
松尾スズキならではの、観ていて飽きない小気味良く展開する悲喜劇ワールドなのですが、なんだろう…このモヤッと感は。
映画の明日香に今ひとつ感情移入できなかったからなのか?いやそれだけではない。
原作を読んだ時ほどのスリルと崇高さが、映画では感じられなかったんですよね。
松尾さんの作品が好きなだけに「もっと良いものを」という期待と欲求…ファンのワガママが強すぎるのかも知れません。
これでチケットを取り損ねた今度のミュージカル公演「キャバレー」が増々観たくなりました。
諦めていたのに…哀しい!!
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・クワイエットルームにようこそ@映画生活
2007年09月27日
めがね

「めがね」の舞台は、南の海辺の小さな町。観光客としてやってきた主人公タエコと海辺の宿の人々の交流を描いています。
といっても、どこへ行くのでもなく、何か起こるわけでもない。ただ、「たそがれる」(リラックスする)だけなのです。
画面いっぱいの海。ゆるやかな日差しと、静かな波の音。
一瞬のようで永遠に続くような、上映時間106分。
けれども、観ているあいだ全然退屈ではなく、とても心地良い流れの中にいるような気分になりました。
そして、この映画で特に印象的だったのは、宿の常連客役のもたいまさこ。
こんなにカッコイイなんて!
彼女抜きでこの映画は成立できないほどの、存在感。
あずきを煮詰めているシーン、
「大切なのは焦らないこと。焦らなければいつかきっと…。」
彼女だから言える、含みのあるこの台詞。いいなあ…。
どうやら観ていた私も、タエコのように「たそがれた」ようです。
このブログを読まれた方も、「めがね」を観る時は携帯電話をオフにして、しばし日常を忘れ、たそがれて下さいね…。
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・めがね@映画生活
2007年09月25日
酔いどれ詩人になるまえに

ショーン・ペンやトム・ウェイツ、U2のボノなどからリスペクトされるなど、カルト的人気を誇る作家、チャールズ・ブコウスキー。
彼の自伝的小説「勝手に生きろ!
売れない詩や小説を送り続けながら、その場しのぎの仕事を渡り歩く男、ヘンリー・チナスキー。
なじみのバーで出会ったジャンという女と暮らし始めても、酒とセックスばかりのその日暮らしの毎日。
けれども、いつも心の中には沸き上がる言葉があり、それは太陽の光のように、彼を温かく照らすのでした…。
まさに“酔いどれ日記”。こんな人を負け犬と呼ぶのかも知れません。
でも全く悲壮感はありません。むしろ清々しく感じれるほど。
それは彼が酒に酔っても、自分に酔ってはいないからでしょうね。
他のことには怠惰でも、自分の使命には徹底的に忠実な生活…。私には到底できませんが、心のどこかで憧れる所があるのかも。
チナスキーを演じるマット・ディロン。彼以外この役が考えられないほどに、似合っていました。
酔いどれぶりやだらしなさといい、リアルで、なおかつどこか憎めないユーモラスな男を、魅力的に演じています。
観終わった直後より、後からじわーっと深く感じるものがある、まさに二日酔いのような映画です。
★「酔いどれ詩人になるまえに」公式サイト
・酔いどれ詩人になるまえに@映画生活
2007年08月19日
リトル・チルドレン

「リトル・チルドレン」は郊外の住宅地を舞台に、大人になれない大人たちの日常を描いた物語です。
今の幸福に気づかず別の人生に憧れる、大人になれない大人たち。それは、今の社会では決して特別なことではないのないのですね。私も実際“大人になれない大人”です。
ピーターパンみたいで聞こえはいいけど、カッコ悪いなあ…。
この映画に出てくる大人たちの行動、どうよ!と思う所もありますが、でもそれだけ真面目で一生懸命なわけで、本当に小さな子どものように痛々しく、切なくもなります。
世の中は情報にあふれ生き方の選択肢も様々で、だからこそブレてしまい、心はさまようばかり…。
特にケイト・ウィンスレット扮する、一見何不自由なく暮らしていて可愛い娘にも恵まれているのに、心に深い孤独を抱えた主婦サラの姿には、自分にもいくつか思い当たる所もあったりして、身に詰まされる気がしました。
でも、何があってもどこに行っても、結局今の自分なのだから、ありのままの自分を受け入れることから始めるしかないんですよね…。
決して全部がハッピーエンドで終わる物語ではありませんが、暗闇に灯る明かりを観たときのような、少しホッとした気持ちになれる映画でした。
★「リトル・チルドレン」公式サイト
・リトル・チルドレン@映画生活
2007年07月05日
ボルベール 帰郷

スペインの太陽のように情熱的な女性ライムンダ。
ある日、娘のパウラが関係を迫ってきた父を刺し殺してしまいます。彼女は娘を守るため、自分が働くレストランの冷蔵庫に死体を隠します。そんな中、故郷ラ・マンチャで死んだはずの母の姿を見たという噂がライムンダの耳に飛び込んできます。しかし、彼女の前についに現れた母は衝撃的な秘密を抱えていたのです…。
スペインの巨匠、ペドロ・アルモドバル。「オール・アバウト・マイ・マザー」
私が最初に観たアルモドバルの映画は「ハイヒール」。この映画も、義父を殺してしまった娘のために、母が罪を被ってしまう物語でした。
画面からあふれんばかりの色彩、大胆かつ滑稽な性描写、わがままで脆さを持ちながらも精一杯たくましく生きようとする女たち、親子の葛藤と絆、そして生と死。
振り返ってみると、彼の映画は形を変えながらも同じテーマを追求しているようです。
本作は、彼のいつもの作品に比べると、やや地味で凡庸な気もします。でも、女性達のそれぞれの人生や思いが情感的に綴られて、最後には、しみじみとさせられるのは、さすがアルモドバル!
女性だけでなく男性の方にも観ていただきたいのですが、どう思われてしまうのか、心配…。
大輪の花のように艶やかなペネロペ・クルスの美しさも、この映画にとてもよく合っていて素敵です!
★「ボルベール 帰郷」公式サイト
・「ボルベール 帰郷」@映画生活
2007年06月06日
しゃべれども しゃべれども

東京の下町。二つ目の落語家・今昔亭三つ葉のもとに「落語を、話し方を習いたい」と、ワケありの3人が集まってきます。
無愛想で口下手な美人、勝気なためにクラスになじめない関西弁の少年、毒舌でいかつい元プロ野球選手。ところが彼らは会うたびに言い争い、なかなか落語も覚えません。
そんな彼らをまとめなくてはいけない三つ葉にも恋と仕事の迷いがあるのでした。
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2007年05月10日
プルートで朝食を

アイルランドの小さな町。
生まれてすぐ教会の前に捨てられていた赤ん坊、キトゥン。
養子先で普通の男の子として育てられますが、ドレスや化粧品など女性的なものに興味を持ち始めた彼は、変わり者として見られます。
やがて実の母親を捜す決意をし、ロンドンへ旅立ちます──。
監督は「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のニール・ジョーダン。
アイルランドが舞台になっている点から「クライング・ゲーム」を連想させます。
しかしこの映画では、主人公キトゥンの波瀾に満ちた人生を通して、どこか喜劇めいたおとぎ話風に描かれています。
様々な人との出会いや恋、そして裏切りや別れ…決して利口ではありませんが、不器用ながらも明るくユーモアを持ち、自分らしい生き方を貫こうとするキトゥンの姿が印象的です。
観ている私が逆に励まされている様な…私もキトゥンのように強くなりたい!
キトゥン役のキリアン・マーフィ。
表情、声や仕草に最初は何とも言い難い奇妙さや恥ずかしさを感じましたが、観ているうちに段々といじらしく、魅力的に思えてきます。
役者として変貌ぶりや演技が巧いだけではない、心からまるでキトゥン自身のようで、愛しい気持ちになりました。
キトゥンや友達が着こなす、70年代のカラフルなファッションにも注目です。
★「プルートで朝食を」公式サイト
・プルートで朝食を@映画生活
2007年05月05日
ロッキー・ザ・ファイナル

愛妻エイドリアンに先立たれ、息子も家を出たことで失意に暮れるロッキー。30年前に出会った少女との再会を機に復帰を決意します。ヘビー級王者ディクソンとの対戦が企画され、ロッキーは再びリングに上がります。
やっと観に行くことができました!
せめて最初の「ロッキー」は観てから、この「ロッキー・ザ・ファイナル」を観たかったので。
なかなか貸出中で無かったのですよ。でも観ておいて良かった。
最初の「ロッキー」にかなり近い印象ですね。というより、ほぼそのまんまですが…。
でも、このシンプルな展開がいいのです。
自分を信じて、あきらめずにひたすら打ち込むロッキー。
理屈を超える感動があります。あのテーマ曲が流れて、ロッキーがフィラデルフィアの街を走っているだけで胸が熱くなるんですよね。
ロッキーの歩んだ道がシルベスター・スタローンの役者人生とリンクしているのも良いです。
映画の中で、ロッキーが息子に語る人生観は、おそらくスタローンの考えそのものなのでしょう。
彼の戦う相手はチャンピオンだけではなく、自分自身の人生でもあるのです。
ある意味、スタローンの自伝的映画。
だからこそ、素直に感動できるのかも知れませんね。
★「ロッキー・ザ・ファイナル」公式サイト
・ロッキー・ザ・ファイナル@映画生活
2007年02月15日
死ぬまでにしたい10のこと

2002年/スペイン・カナダ映画
監督:イサベル・コイシェ
出演:サラ・ポーリー、スコット・スピードマン、マーク・ラファロ
がんで余命2か月と宣告される23歳のアン。
家族にも誰にも話さないと決めた彼女は、「死ぬまでにしたいこと」の10項目のリストを作ります。
ささやかなオシャレの願いから、ふたりの娘たちへの愛情、そして夫以外の男とつきあってみるという、女としての切ない願い…。
その日から始まったアンの死ぬための準備が、同じことの繰り返しだった毎日を生き生きとした充実した瞬間に変えていくのでした。
ラストシーン、自分の死後に訪れるであろう家族の日常をカーテン越しに見つめているアンの姿が切なくて、涙が止まりませんでした。
「死ぬまでにしたいこと」リストの全部は実現できなかったけれど最後まで懸命に生きたから、きっと彼女は満足できたのではと思います。
まだ心のどこかで自分の死を考えてみたりするのは怖いけど、「死ぬまでにしたいこと」のリストを考えて、毎日を大切に生きていくのは結構悪くないなと思います。
毎日の生活に追われて忘れてしまいがちな、日常の幸福や大切さや人生の意味を、主人公のアンを通して向き合わせてくれた映画でした。
2007年02月13日
あなたになら言える秘密のこと

「あなたになら言える秘密のこと」は、「死ぬまでにしたい10のこと」のイザベル・コイシェ監督と主演のサラ・ポーリーが再びコンビを組んだ最新作です。
誰にも言えない秘密を抱えた女性ハンナ。そのために友人も作らず、職場と自宅を往復するだけの毎日。
休暇中のある日、ハンナはふとしたきっかけから油田の事故で負傷した男ジョゼフを看病することになります。
秘密を抱えたふたりが出会い、少しずつ互いの心を開いていくストーリー。
ハンナの秘密はストーリーの終盤まで明かされず、内容を暗示させる展開もないままに淡々と進行していきます。
それだけにジョゼフに告白するシーン、ハンナの口から語られる秘密は、あまりにも重く悲しく、ショッキングでした。なんというか…全く自分が考えもしなかった内容で、そのことを考えすらしなかった鈍感さと世界観の狭さに自分が恥ずかしくなりました。
この世界で、ハンナのような悲しく辛すぎる秘密を抱えて生き続けている人は、決して少なくはないのでしょう。
だからこそ、最後にハンナがたどりついた希望を感じさせるラストシーンは、より強く心に響くのでした。
★「あなたになら言える秘密のこと」公式サイト
2007年02月07日
待合室-Notebook of Life-

2006年・日本
監督:板倉真琴
出演:富司純子、寺島しのぶ
岩手の小さな町、小繋駅の待合室に置かれるようになった「命のノート」。待合室を訪れる旅人たちは、心の中の喜怒哀楽の言葉を書き綴っていきます。
その言葉に、駅前の店を切り盛りする和代が励ましの返事を書き続けているのでした。
「一生懸命生きてください。いつか必ずいいことがありますから…」
悲しいことがいっぱいあっても一生懸命生きてきた和代だからこそ、ノートに書かれた思いを理解して、エールを送ることができるのでしょうか。
こんな人に出逢えるだけ、まだ幸せなのではないかと思ったりします。なんだか学校の保健室の先生のようでした。
富司純子と寺島しのぶの母娘による共演。
主人公の現在と過去を二人一役で演じています。
寺島しのぶの若い頃の役は、富司純子とは俳優としてのカラーが違うので違和感がありましたが、明るく生きていくおかみさんの雰囲気に好感が持てます。やはり良い女優さんだなと感心しました。
ダンカンやあき竹城、利重剛など脇を固める俳優もガツンと決めて盛り上げています。
ラストに流れる綾戸智絵の歌も、胸に沁みますよー。
★「待合室-Notebook of Life-」公式サイト







